抄録
安全な運転を行うために必要な認知機能のひとつに実行機能がある。本研究では、運転に必要な実行機能を評価するため、新たに課題を開発し、既存の認知課題との関連を検討することで、開発した実行機能評価課題がどのような実行機能の側面を反映しているかを明らかにすることを目的とした。実行機能評価課題は、数字のついたオブジェクトを1、2、3と数字順に消していく課題Aと数字とひらがながついたオブジェクトを1、あ、2、いと数字とひらがなを交互に消していく課題Bで構成されていた。実験は、実行機能評価課題と実行機能の切替、更新、抑制のいずれかの機能を測定している既存の認知課題5種を実施した。重回帰分析の結果、課題Bの所要時間、課題AとBの所要時間差が、サイモン効果(抑制)、語音整列課題(更新)とそれぞれ関連していた。本研究で開発した実行機能評価課題は実行機能の抑制と更新の側面を測定していると考えられる。