日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第21回大会
セッションID: O_B04
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口頭(社会的認知・感情)
畏敬の念,知的好奇心,創造的自己に関する縦断的研究
−潜在変化モデルを用いた検討−
*澤田 和輝野村 理朗
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抄録

大自然の絶景等の広大かつ既存のスキーマを超越する刺激に対して生じる「畏敬の念」と呼ばれる感情反応がある.畏敬の念−好奇心−創造性の関連において,これまでの研究は各心理特性の個人間変化に着目するあまり個人内変化については未検討であった.本研究では,20代を対象に2時点4ヶ月間隔で畏敬の念,好奇心,創造的自己を測定し,潜在変化モデルを用いることで各変数の個人内の変化量の関連を検討した(N = 257; 平均年齢26.10±3.17歳,女性183名).潜在変化モデルにより推定された各変数の変化量に対して,ブートストラップ法を用いて媒介分析を実施した結果,畏敬の念を感じる頻度が増加した個人ほど知的好奇心が増加し,転じて自己を創造的に感じる程度が増加することが明らかになった(間接効果b = 0.18, 95%CI [0.09, 0.29]).本研究の結果は,個人内変化の観点から畏敬の念が知的好奇心の向上を介して創造性を促進することを新たに示唆する.

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© 2023 日本認知心理学会
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