抄録
顔の魅力や性的二型を構成する要素については多くの研究が行われてきた。しかし、これまでの研究の多くは、実験者の仮説に基づく実験室実験が主であり、様々な顔特徴と性的二型、顔魅力との関係を網羅的かつ詳細に検討することは困難であった。そこで、本研究では、仮説に依存しないデータ駆動型の手法を採用した。具体的には、顔画像データセットに収録されている様々な顔特徴・顔印象得点を用いて、ランダムフォレスト回帰モデルにより顔魅力と性的二型性に重要な特徴を抽出した後、LinGAMと呼ばれる統計的因果探索の手法により因果関係を調査した。その結果、男性画像の場合は、様々な顔の特徴が性的二型性を介して魅力を予測するのに対し、女性画像の場合は、様々な顔特徴が魅力を介して性的二型性を予測することが示された。これらにより、データ駆動的な観点から、性的二型性と魅力の関係が性別によって異なることが示唆された。