日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第22回大会準備委員会
セッションID: P2-13
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吹き替え版と字幕版は“同じ”映画を見ているのか
:背景事象に対する注意の配分と再認成績からの考察
*後藤 靖宏
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抄録
外国映画の吹き替え版と字幕版とを鑑賞する際の注意の配分の特徴と映像の記憶を調べた。実験では,同じ外国映画の吹き替え版と字幕版を準備して、映像内の背景事象の再認課題を課した。その際に意図的に背景に注意を向けるように教示した群としない群を設定した。実験の結果、吹き替え版、字幕版ともに一定程度の記憶はされていつつも、前者の方が後者のそれよりも記憶成績が良かった。この結果は、吹き替え版は原則として映像にのみ視覚的注意を配分すればストーリーを追うことができるのに対し、字幕版の場合は影像と同時に字幕にも注意を分割して配分しなければならず、相対的に映像に向けられる注意が少ないことが理由であると考えられる。今後は、背景事象に加えてストーリーに直接関係している事象についても調べることで、外国映画の吹き替え版と字幕版の違いの本質を包括的に議論することが出来るであろう。
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