セメント水和物の炭酸化によるCO2固定は広く認知されているものの,定量的な知見の蓄積は十分になされておらず,コンクリートにかかわるCO2排出量計算においては考慮されていない。そこで,コンクリートの供用,再資源化を通じたCO2固定量に関する基礎的データを幅広く得ることを目的として,全国の中間処理工場から収集した再生砕石試料のCO2固定量を調査した。その結果,コンクリート構造物の供用中におけるCO2固定量は,平均供用年数が約30年のコンクリートにおいて15kg/tに及び,セメント製造時の脱炭酸量の1/4に相当すること,また,同コンクリート塊の再資源化におけるCO2固定量は9kg/tに及び,これを減ずることで再生砕石製造にかかるCO2排出原単位は砕石(新材)に比べて小さくなることが確認された。