抄録
本稿は, コンクリートのぜい性的な破壊の機構を中心に, 破壊力学との関連において考察したものである。前半では, 多相材料の破壊の基本的な特性を, 多数の要素から成る構造系の破壊という観点から, 破壊の開始, 伝播および系の破壊 (崩壊) へと至る過程とその機構という面から検討した。次いで, 要素ならびに系としての強度特性を検討し, 多軸応力状態の下での一般的な破壊の規準の性質について考察した。後半では, 以上のことを踏まえた上で, コンクリート・システムの破壊の機構を考察し, 次いで, 内部構造の変化に伴うシステムの巨視的応答特性の変化とその表現法について検討した。最後に, コンクリート・システムの破壊のモデル化についても言及した。