日本調理科学会誌
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白桃の成熟過程における細胞壁多糖類および細胞壁形態の変動
渕上 倫子寺本 あい治部 祐里安川 景子桒田 寛子横畑 直子槙尾 幸子小宮山 展子林 真愉美
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2009 年 42 巻 1 号 p. 9-16

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抄録
白桃の開花後,70日から130日にわたって,白桃果実の細胞壁の硬度,水溶性ペクチン,水溶性多糖類,ポリガラクツロナーゼなどの変動について調べた。組織の破断強度は成熟中にほぼ直線的に減少した。しかし,食感的には完熟期に急速に軟化が進んた。完熟期にポリガラクツロナーゼ活性が急速に増大し,それに伴ってペクチンと多糖類が急速に水溶化した。クライオ走査電子顕微鏡による観察では,未熟な白桃の細胞壁は全体が充実していたが,開花後108日における観察では小さな丸い欠落部分が細胞壁全体に分布していた。このときの硬度は開花後77日の約二分の一であった。開花後126日における細胞壁はその中層は裂け,一次壁にあった丸い欠落部分は大きくなっていた。これらの形態学的変化はペクチンや多糖類の可溶性化によるものと考えられる。
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© 2009 一般社団法人日本調理科学会
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