日本調理科学会誌
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42 巻, 1 号
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総説
報文
  • 渕上 倫子, 寺本 あい, 治部 祐里, 安川 景子, 桒田 寛子, 横畑 直子, 槙尾 幸子, 小宮山 展子, 林 真愉美
    2009 年 42 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    白桃の開花後,70日から130日にわたって,白桃果実の細胞壁の硬度,水溶性ペクチン,水溶性多糖類,ポリガラクツロナーゼなどの変動について調べた。組織の破断強度は成熟中にほぼ直線的に減少した。しかし,食感的には完熟期に急速に軟化が進んた。完熟期にポリガラクツロナーゼ活性が急速に増大し,それに伴ってペクチンと多糖類が急速に水溶化した。クライオ走査電子顕微鏡による観察では,未熟な白桃の細胞壁は全体が充実していたが,開花後108日における観察では小さな丸い欠落部分が細胞壁全体に分布していた。このときの硬度は開花後77日の約二分の一であった。開花後126日における細胞壁はその中層は裂け,一次壁にあった丸い欠落部分は大きくなっていた。これらの形態学的変化はペクチンや多糖類の可溶性化によるものと考えられる。
  • 深井 洋一, 今井 敬純
    2009 年 42 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    長野県産の糯米品種3品種について,新米として平成18年産,古米として平成17年産を供試した。そして焼き餅の官能評価を行い,糊化特性,餅生地硬度および焼き餅の伸張度,におい識別値の理化学的性状の調査を関連付けて,貯蔵過程の古米化に伴う糯米とその餅の食味低下の因子構成を検討した。
    1.官能評価と理化学的性状の相関関係では,官能評価の「のび」,「粘り」,「美味しさ」,「香り」および「総合評価」の5項目に対して,負の因子として糊化特性の最高粘度とにおい識別値のSC 1,正の因子として焼き餅の伸張度の関与が大きいことが分かった。
    2.主成分分析による主成分得点の布置は,品種間で収穫年産別に2群に大別された。因子分析では,貯蔵に伴う古米化による負の因子構成として,「のび」,「コシ」および老化性に関る変数が関与していることが明らかになった。
  • 粟津原 理恵, 大川 祐輔, 堀 友繁, 長尾 慶子
    2009 年 42 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    ゼリー状ソバ食品の調理条件の解明を目指した基礎実験として,ソバに含有するルチンの添加量を変えて調製したルチン-ゼラチン混合系ゲルのゲル特性を追跡した。
    細線加熱法および動的粘弾性の各測定では,ルチン添加によるゼラチンのゾル・ゲル転移温度の変動はみられなかった。しかし,結晶が析出し始める1,000 ppm 以上のルチン添加では,無添加試料に比較してゲル化後の貯蔵弾性率が著しく上昇したことから,この添加量以上では,ゲル化後のゼラチン分子の架橋形成が促進されることが示唆された。この濃度以上では,ルチン結晶の析出量が増加するとともに,有意にゲルの破断応力は上昇して硬さを増し,破断歪率は低下して脆くなった。以上のことから,ゲル中におけるルチン結晶の析出は,ゲルの物性に影響を与えると考えられる。
    そのため,口当りの好ましいゼリー状ソバ食品の調理加工には,ルチン含量の低い普通ソバ粉や,ソバ茶抽出液などの利用が望ましいといえる。
ノート
  • 石原 克之, 奈良 一寛, 米澤 弥矢子, 星野 文子, 有馬 正巳, 古賀 秀徳
    2009 年 42 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    炭水化物を多く含む食品を高温で加工された食品中からアクリルアミド(AAm)が検出されたと2002年4月にスウェーデンの研究者により発表された。その後,種々の加熱加工食品中に存在していることが明らかとなった。しかしながら,加工食品同様に食材に加熱加工を施す家庭での調理食品についての検討はあまりなされていない。そこで,家庭での調理食品に着目して調査を行った。種々の加熱調理食材にAAmが認められ,含有量の高かったのは,もやし,次いでにんにくであった。また,食材中のアスパラギン(Asn)含量と加熱後のAAm含量との間に強い相関(R2=0.66)が見られた。しかし,Asn含量が低くても加熱が強いとAAm含量が高くなる可能性があることが分かった。このことから,家庭での調理においても過度な加熱調理を避けることでアクリルアミド生成が抑制されることが示唆された。
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