日本調理科学会誌
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ムクナ属マメの調理性に関する研究(第1報)
―煮豆としての浸漬・加熱条件―
飯島 久美子奥山 綾子早川 和那藤井 義晴香西 みどり
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2009 年 42 巻 2 号 p. 93-101

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抄録
 ムクナ属マメの食用としての利用を拡大するためにムクナ属マメのハッショウマメ(JVB)とフロリダベルベットビーン(FVB)の二種類の調理特性を把握し,適切な調理条件を検討した。一般成分ではデンプン性の豆としてはたんぱく質と脂質が多く,L-DOPA量はいずれも約 4 g/100 g生豆だった。JVBはFVB,大豆,小豆よりも20℃浸漬での吸水が遅く,個体差も大きいことから吸水が悪いという特徴があった。「煎る」「傷付け」「皮剥き」により吸水率は増加した。さらに40~90℃浸漬では吸水率増加,個体差の低下と吸水特性の改善効果がみられたが,50~70℃浸漬では浸漬後の茹で加熱により硬化がおこった。JVBに適した調理条件として90℃ 4時間浸漬後沸騰水で40分間加熱が設定された。このときのL-DOPA量は浸漬により約40%に減少し,その後の茹で加熱でさらに約25%にまで減少し食用として煮豆への利用が十分可能であった。
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© 2009 一般社団法人日本調理科学会
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