日本調理科学会誌
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圧力移動凍結したゆで卵の物性と微細構造
治部 祐里安川 景子桒田 寛子横畑 直子寺本 あい渕上 倫子
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2009 年 42 巻 2 号 p. 86-92

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抄録
 本研究では冷凍ゆで卵の品質改善に対する圧力移動凍結の効果を調べるため,200 MPa,-18℃で圧力移動凍結したゆで卵を,大気圧下の-18℃圧力容器内凍結およびフリーザー凍結(-18,-30,-80℃)したゆで卵と比較した。200 MPa,-18℃では,高圧処理中には凍結せず,圧力解除時に急速凍結(圧力移動凍結)した。急速凍結により生成した氷結晶は小さく,解凍後のドリップが少なく良好な外観を示し,破断応力,破断歪率は凍結前未処理のゆで卵に近い値を示した。一方,大気圧下のフリーザーでは,凍結温度が高いほど大きな氷結晶が生成しドリップ量が増加した。また大気圧下の-18℃圧力容器内凍結では,-18℃,-30℃フリーザー凍結と比較すると凍結時間が短かったため,明らかに細かい氷結晶が生成しており,解凍時の外観,物性,ドリップ率ともに改善されたが,圧力移動凍結には及ばなかった。
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© 2009 一般社団法人日本調理科学会
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