日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
資料
エイの魚食文化と地域性
冨岡 典子太田 暁子志垣 瞳福本 タミ子藤田 賞子水谷 令子
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 43 巻 2 号 p. 120-130

詳細
抄録

日本においてエイの食習慣が形成された背景および地域性を明らかにすることを目的に,「平成15・16年度日本調理科学会特別研究―魚介類の調理」および『日本の食生活全集』を主な資料として検討した結果,以下のことが明らかになった。
エイは,東北,近畿,中国地方の海から遠い内陸部や山間部地域の晴れ食には欠くことのできない食べ物として供されていた。エイの魚肉は尿素含量が高く,魚類としては腐敗しにくい特性を持ち,日持ちのする無塩もの(鮮魚)として調理できること,また,乾物にして保存し,利用できることなど,海から遠い地域でも利用できる条件を満たす海魚であった。エイは,肉,ひれ,骨のすべてが食用になり,軟骨特有のコリコリとした歯ごたえおよび煮もの調理によって形成されるゼラチン質の煮こごりなどの食感は,日本人の嗜好に合い,本草書に記されたエイの食品価値は,民間に伝わったアカエイの肝の薬効とともに高く評価されてエイの食習慣が定着した。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top