日本調理科学会誌
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43 巻, 2 号
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平成21年度日本調理科学会学会賞受賞記念論文
平成21年度日本調理科学会奨励賞受賞記念論文
報文
  • 行友 圭子, 本澤 真弓, 井川 佳子
    2010 年 43 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    3種の異なる糖(スクロース,ソルビトール,キシリトール)を使用して2レベルの糖濃度(150%,200%)のハードメレンゲを調製した。示差走査熱量測定とX線回折で測定したメレンゲ中の糖の結晶状態が,貫入試験で調べたハードメレンゲの硬化過程や硬化状態に与える影響を研究した。合わせて,製品の官能評価を行った。
    室内において,スクロースメレンゲは1時間の放置で硬化し,キシリトールメレンゲの硬化には約6時間を要した。スクロースとキシリトールのメレンゲは硬化の状態がよく似ていた。ソルビトールメレンゲは9時間後に硬化し,スクロースやキシリトールメレンゲとは硬化状態が異なっていた。メレンゲの硬化時期は糖の結晶化の時期と対応していた。スクロースとキシリトールメレンゲ中の結晶はそれぞれの材料糖と同じタイプであったが,ソルビトールメレンゲでは材料糖と異なるタイプであることが分かった。
    キシリトールメレンゲは冷感があったが,スクロースメレンゲと同様に好まれた。ソルビトールメレンゲはかなりかたいと判断された。
  • 柴田 圭子, 渡邉 容子, 早瀬 明子, 安原 安代
    2010 年 43 巻 2 号 p. 87-97
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    家庭における飯の冷凍保存とその電子レンジ加熱の方法を研究するため,女子大学生と消費者モニター(日立アプライアンス)にアンケート調査を実施した。その調査より得られたデータに基づき,電子レンジ加熱後の飯の食味におよぼす加熱条件の影響を検討した。
    アンケート参加者の多くが8~10cm四方,150g程度のかたまりの飯を1週間程度冷凍保存をしていた。その90%以上が冷凍飯を加熱するのに電子レンジを使用していた。飯がほどよく膨潤糊化していれば,150gの電子レンジ加熱した飯の食味は冷凍していない飯の食味に類似していた。しかし,たとえよく膨潤糊化した飯でも,300gの飯の場合には加熱ムラのために食味が低下した。ゆえに,家庭で飯を冷凍―電子レンジ加熱する場合,飯は小さめ(例えば150g程度)に冷凍し,電子レンジ加熱は庫内のプレートに直接置くのが最も適当であろう。
  • 三神 彩子, 喜多 記子, 佐藤 久美, 長尾 慶子
    2010 年 43 巻 2 号 p. 98-105
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,幅広い料理法に対応できる中華鍋(鉄製)の特性を活用し,省エネルギー効果およびCO2排出量削減効果をはかることを目的に,「炒める」「焼く」「揚げる」「蒸す」「煮る」の 5操作法別に代表的な調理での他の鍋類との比較を行い,調理時のガス・水使用量,試料内部温度,仕上がりまでの加熱時間を測定し,さらにCO2排出量に換算した。 炒める(キャベツ炒め)では,中華鍋は鉄製フライパンと比較し約26%,テフロン加工フライパンとでは約56%,焼く(ハムステーキ)は,中華鍋は鉄製フライパンと比べ約13%,テフロン加工フライパンとでは約47%,揚げる(トンカツ)は,揚げ鍋と比較し約16%,蒸す(蒸しイモ)は,中華鍋で蒸籠を使った場合と西洋蒸し器とで比較すると,約7%のCO2排出量削減効果が得られた。煮る(煮豚)では,中華鍋によるCO2排出量削減効果はみられなかった。以上5項目中4項目の加熱操作の中華鍋使用の料理で7~56%のCO2排出量削減効果が確認できた。
ノート
  • ~畜肉の加熱調理及び鰯の冷蔵・冷凍保存について~
    山田 潤, 稲森 美奈子, 梨本 亜希, 松田 秀喜
    2010 年 43 巻 2 号 p. 106-112
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,畜肉類の加熱調理時における鰹だしの抗酸化効果を検証した。さらに,鰹だしの加工適性を確認するため,マイワシのつみれにおいて,冷凍,冷蔵保存時の経時的な酸化抑制効果を検討した。
    鶏つくね・豚団子・牛肉ハンバーグの官能評価から,鰹だしを添加した試料は肉臭さ(油臭さ)の減少を確認した。さらに,TBA価は3種類の調理品において,鰹だしを使用したものの方が対照よりも低値を示した。また,鶏肉の特徴的で衝撃的な臭気物質であるヘキサナールの抑制もGC-MS分析により認められた。以上の結果から畜肉に対しても鰹だしが有効な酸化抑制効果を有していることが示された。また,冷凍,冷蔵保存した鰯つみれの経時的なPOVは,鰹だしを使用した方が低い値で推移した。このことから,鰹だしの酸化抑制効果は調理後だけでなく保存中においても経時的に持続し,調理品の酸化を抑制することが示された。
資料
  • 島田 淳子, 関本 美貴
    2010 年 43 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    明治時代初期からの日本の法律を,食文化との関連で解析した。明治時代から平成時代までに制定された全法律数は,日本で民主主義が確立された昭和20年(1945年)以降に激増した。食に関するキーワードを含む法律数も同様の傾向を示した。これらの法律を食文化との関連性の有無で解析した。「食文化」という表現は平成17年(2005年)に公布された食育基本法に初めて登場した。次にそれ以前に公布された法律について食文化との関連について調査したところ,食文化に関する表現は昭和29年(1954年)に公布された学校給食法に認められた。
  • 冨岡 典子, 太田 暁子, 志垣 瞳, 福本 タミ子, 藤田 賞子, 水谷 令子
    2010 年 43 巻 2 号 p. 120-130
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    日本においてエイの食習慣が形成された背景および地域性を明らかにすることを目的に,「平成15・16年度日本調理科学会特別研究―魚介類の調理」および『日本の食生活全集』を主な資料として検討した結果,以下のことが明らかになった。
    エイは,東北,近畿,中国地方の海から遠い内陸部や山間部地域の晴れ食には欠くことのできない食べ物として供されていた。エイの魚肉は尿素含量が高く,魚類としては腐敗しにくい特性を持ち,日持ちのする無塩もの(鮮魚)として調理できること,また,乾物にして保存し,利用できることなど,海から遠い地域でも利用できる条件を満たす海魚であった。エイは,肉,ひれ,骨のすべてが食用になり,軟骨特有のコリコリとした歯ごたえおよび煮もの調理によって形成されるゼラチン質の煮こごりなどの食感は,日本人の嗜好に合い,本草書に記されたエイの食品価値は,民間に伝わったアカエイの肝の薬効とともに高く評価されてエイの食習慣が定着した。
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