抄録
本研究では,鰹だし添加による乳酸に対する酸味抑制,酢酸に対する酸臭抑制効果について検討を行った。乳酸・酢酸各サンプルに鰹だしを添加し,官能評価を行い,酸味は味覚センサーで,酸臭はGC-MSを用いて評価した。
また酸味抑制効果に対してだしが持つ緩衝作用の影響を考察するため,酸解離定数pKaを測定,算出した。
その結果,酸味は官能評価から,鰹だしの添加量に伴って抑制されることが確認でき,味覚センサーの結果もこれを支持した。酸臭についても,酸味と同様,官能評価結果から鰹だしの添加濃度に順じて抑制されることが確認でき,GC-MSの結果もこれを支持した。pKa値と酸味の官能評価結果の間には,相関は認められなかったが,味覚センサー結果とは相関性があることを確認した。実際の調理品でも検証を行い,鰹だしの添加による酸臭抑制効果を確認した。
以上のことから,鰹だしには酸味・酸臭の抑制効果があり,これは緩衝作用も要因のひとつであることが推測された。