日本調理科学会誌
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固体分散ゾル食塊の咽頭部移動速度と客観・主観評価に及ぼすゾル濃度の影響
佐川 敦子森髙 初惠
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2012 年 45 巻 2 号 p. 104-114

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抄録

 固体分散ゾルの食塊を試料として,みかけの粘性率および咽頭部の食塊の移動速度を測定し,増粘剤(ゾル)の濃度が咀嚼・嚥下に及ぼす影響について検討した。
 澱粉ゾル添加試料(以下PS)の食塊のみかけの粘性率は,ゾル濃度に関わらず水添加試料(以下W)とほぼ同程度であった。グアーガムゾル添加試料(以下GG),キサンタンガムゾル添加試料(以下XG)のみかけの粘性率は,低濃度ゾルの試料では咀嚼された固形物の影響を強く受けて高くなったが,高濃度ゾルの試料では固形物の影響は弱かった。
 咽頭部でのPSの食塊の移動速度は,ゾル濃度が移動速度に及ぼす影響は小さかったが,GG,XGはゾル濃度が高くなるに伴い,最大移動速度が低くなる傾向がみられた。
 口腔内でのずり速度とずり応力の関係を検討した結果,PSでは高いずり速度で低いずり応力,GG,XGは低いずり速度で高いずり応力で知覚されていると考えられる。咽頭部での食塊のずり速度の範囲は,口腔内のずり速度よりも狭かったが,一方,ずり応力の範囲は広いことが示唆された。

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© 2012 一般社団法人日本調理科学会
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