日本調理科学会誌
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果汁添加カラギーナンゲルの混合効果
廣瀬 めぐみ市川 朝子
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2012 年 45 巻 2 号 p. 96-103

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抄録
 ι-カラギーナンは κ-カラギーナンに比べ,付着性が強く離漿しにくいゲルとなる特徴を有する一方で,独特の海藻臭があり,そのままではゼリー凝固剤として扱いにくい。今回は ι-, κ-各々単一と,混合配合したカラギーナンに,レモン汁の酸味を加えたゲル特性および,ι-カラギーナンゲルに対する生姜汁の消臭効果について検討した。結果は以下の通りであった。レモン汁添加カラギーナンゲルの硬さと官能評価の結果から,ι-カラギーナンの至適濃度は1.7%であり,κ-カラギーナンでは0.6%であったが,このときの両者の破断応力値は約4.28×103(N/m2)前後の値となった。混合ゲルの嗜好性について行った官能評価結果から,ι-カラギーナンを至適濃度の25%,κ-カラギーナンを至適濃度の75%で配合したゲルが最も好まれた。さらに,ι-カラギーナン0.9%濃度とし,これに κ-カラギーナンを数段階の濃度で添加する配合の混合ゲルについては,κ-カラギーナン0.17%添加が最も好まれ,この破断応力値は ι-カラギーナン1.7%単一ゲル値に最も近い物性値であった。また,ι-カラギーナン1.7%単一ゲルに生姜汁1.0%を添加することで,消臭効果が認められた。
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© 2012 一般社団法人日本調理科学会
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