日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
45 巻 , 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
平成23年度日本調理科学会学会賞受賞記念論文
平成23年度日本調理科学会奨励賞受賞記念論文
報文
  • 廣瀬 めぐみ, 市川 朝子
    2012 年 45 巻 2 号 p. 96-103
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     ι-カラギーナンは κ-カラギーナンに比べ,付着性が強く離漿しにくいゲルとなる特徴を有する一方で,独特の海藻臭があり,そのままではゼリー凝固剤として扱いにくい。今回は ι-, κ-各々単一と,混合配合したカラギーナンに,レモン汁の酸味を加えたゲル特性および,ι-カラギーナンゲルに対する生姜汁の消臭効果について検討した。結果は以下の通りであった。レモン汁添加カラギーナンゲルの硬さと官能評価の結果から,ι-カラギーナンの至適濃度は1.7%であり,κ-カラギーナンでは0.6%であったが,このときの両者の破断応力値は約4.28×103(N/m2)前後の値となった。混合ゲルの嗜好性について行った官能評価結果から,ι-カラギーナンを至適濃度の25%,κ-カラギーナンを至適濃度の75%で配合したゲルが最も好まれた。さらに,ι-カラギーナン0.9%濃度とし,これに κ-カラギーナンを数段階の濃度で添加する配合の混合ゲルについては,κ-カラギーナン0.17%添加が最も好まれ,この破断応力値は ι-カラギーナン1.7%単一ゲル値に最も近い物性値であった。また,ι-カラギーナン1.7%単一ゲルに生姜汁1.0%を添加することで,消臭効果が認められた。
  • 佐川 敦子, 森髙 初惠
    2012 年 45 巻 2 号 p. 104-114
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     固体分散ゾルの食塊を試料として,みかけの粘性率および咽頭部の食塊の移動速度を測定し,増粘剤(ゾル)の濃度が咀嚼・嚥下に及ぼす影響について検討した。
     澱粉ゾル添加試料(以下PS)の食塊のみかけの粘性率は,ゾル濃度に関わらず水添加試料(以下W)とほぼ同程度であった。グアーガムゾル添加試料(以下GG),キサンタンガムゾル添加試料(以下XG)のみかけの粘性率は,低濃度ゾルの試料では咀嚼された固形物の影響を強く受けて高くなったが,高濃度ゾルの試料では固形物の影響は弱かった。
     咽頭部でのPSの食塊の移動速度は,ゾル濃度が移動速度に及ぼす影響は小さかったが,GG,XGはゾル濃度が高くなるに伴い,最大移動速度が低くなる傾向がみられた。
     口腔内でのずり速度とずり応力の関係を検討した結果,PSでは高いずり速度で低いずり応力,GG,XGは低いずり速度で高いずり応力で知覚されていると考えられる。咽頭部での食塊のずり速度の範囲は,口腔内のずり速度よりも狭かったが,一方,ずり応力の範囲は広いことが示唆された。
  • 森髙 初惠, 中西 由季子, 不破 眞佐子, 谷井 涼子
    2012 年 45 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     米飯摂食後の血糖値上昇抑制を目的として,米飯へ0~2.5%寒天を添加した効果について,嗜好特性,熱特性ならびに血糖値を測定して検討した。
     高い濃度の寒天を添加した米飯においては,味,香り,外観は悪いと評価され,硬さは硬いと評価された。昇温DSC曲線における最も高温の吸熱ピークは,寒天添加により高温側へシフトし,エンタルピーは小さくなった。米飯摂取後120分間の血糖応答曲線において,寒天の添加により血糖値は緩慢に増加し,最大血糖値は低下した。グリセミックインデックスは,寒天無添加米飯で大きく,寒天濃度が増加すると減少した。
  • 野村 知未, 今岡 麻奈美, 水尾 和雅, 田中 すみれ, 保井 りさ, 杉山 寿美
    2012 年 45 巻 2 号 p. 123-132
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     外観や食感が異なる上部と下部を有するいわゆる“なめらかプディング”を試料として,卵黄がその構造形成にどのように関与しているのかを考察することを目的として研究を行った。牛乳100 g,生クリーム100 g,砂糖20 g,卵黄40 gで調製したプディングでは,上部の脂肪量が下部よりも有意に多かったが,上部と下部の脂肪酸組成に差は認められなかった。コレステロール量は上部で,リン脂質リン量は下部でわずかに多かった。また,上部の平均粒子径は下部よりも大きく,上部のヒステレシスエリアおよび見かけの粘度は下部よりも有意に高かった。このプディングで認められた上部と下部の脂質量,平均粒子径,静的粘弾性の差は,加熱時間の短いプディング,卵黄配合量の少ないプディング,卵白を配合したプディング,乳脂肪クリーム配合量が多いプディングで認められなかった。また,動的粘弾性測定では,なめらかプディングの構造安定性には卵白よりも卵黄が寄与していること,乳脂肪クリーム量が多くなることでより安定となること,プディングの加熱過程で安定性が増すことが示された。また,プディングの上部,下部ともに測定した周波数領域において,G′がG″より高く,G′,G″ともに周波数に依存して増加する,弱いゲル型のレオロジー特性を示し,下部のゲル的性質が強かった。
  • 畑江 敬子, 奥本 牧子
    2012 年 45 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     煮物の味は冷めるときにしみ込むという言い伝えを検証するために,ジャガイモ,ダイコン,コンニャクを2 cm角の立方体に成形し,1%食塩水中で食べられる軟らかさまで加熱後,0,30,50,80,95°Cで90分まで保温し,30分後と90分後に外層部と内層部の食塩濃度を測定した。温度降下条件を各設定温度に試料を加熱した鍋のまま移す緩慢条件と,氷水に鍋をつけて設定温度まで下げた後保温する急速条件の2種とした。いずれの条件でも,保温温度が高いほど,食塩の内部への拡散は大きく,このことは官能評価でも確認された。これらの結果から冷めるときに味がしみ込むということは見いだせなかった。ソレ効果についても検討したが,ソレ効果で煮物の調味料の拡散を説明することはできないことがわかった。冷めるときに味がしみ込むというのは,冷める時間に調味料が内部へ拡散することを言っているのではないかと考えられる。
ノート
  • 柴田 圭子, 渡邉 容子, 早瀬 明子, 安原 安代
    2012 年 45 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     焼き魚の食味に及ぼす解凍方法の影響を検討するため,冷凍魚(メカジキ:学名Xiphias gladius)の数種類の解凍方法の実験を行なった。我々は5種類の解凍条件-1.電子レンジ(100 W断続照射);2.室温解凍;3.流水解凍;4.低真空チルド室解凍;5.冷蔵庫内解凍-を比較した。
     解凍の内部温度終点を-1°Cにした場合,電子レンジ断続照射による解凍は解凍時間が最短で,最も解凍ドリップが少なかった。低真空チルド室の解凍は最も長い解凍時間であったが,解凍ドリップが比較的少なく,筋繊維も十分に水和膨潤していた。更にこの方法は調理歩留まりが高めになり,焼き魚の食味も好まれていた。流水解凍した場合の焼き魚は,ドリップ量が多いため多汁性が低く評価されていた。
資料
  • 笠松 千夏, 半田 辰徳, 神宮 英夫
    2012 年 45 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/03/14
    ジャーナル フリー
     調理スキル獲得において調味時の調理者の心理的負担や調味難易度を客観的に示すことを目的とし検討を行った。被験者は,目標とする塩分濃度のすまし汁を味わった後,その味を再現する調味操作を繰り返し行い,調理後にVASによる心理評価に回答した。また,調味操作中の脳活動をNIRSにより測定した。試行回数が増えるに従い目標に近い調味ができ,回帰分析の結果,試行回数の増加とともに「味決めが易しい」「上手にできた」(p<0.05)と感じることがわかった。脳血流量変化は,1回目調理に比べ,5回目調理では有意に小さく(p<0.05),調味操作のスキルを獲得し,脳内で効率的な処理が行われていること示した。
     VAS評価と調理行動を対応させ,脳機能計測を用いることで,調味料使用時の調理者心理を客観的に把握することが可能となった。
講座
教材研究
クッキングルーム
トピックス&オピニオン
feedback
Top