抄録
調理スキル獲得において調味時の調理者の心理的負担や調味難易度を客観的に示すことを目的とし検討を行った。被験者は,目標とする塩分濃度のすまし汁を味わった後,その味を再現する調味操作を繰り返し行い,調理後にVASによる心理評価に回答した。また,調味操作中の脳活動をNIRSにより測定した。試行回数が増えるに従い目標に近い調味ができ,回帰分析の結果,試行回数の増加とともに「味決めが易しい」「上手にできた」(p<0.05)と感じることがわかった。脳血流量変化は,1回目調理に比べ,5回目調理では有意に小さく(p<0.05),調味操作のスキルを獲得し,脳内で効率的な処理が行われていること示した。
VAS評価と調理行動を対応させ,脳機能計測を用いることで,調味料使用時の調理者心理を客観的に把握することが可能となった。