日本調理科学会誌
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浸漬時間の違いによる米飯の構造とテクスチャーの関係
冨田 晴雄坂本 薫John Henderson竹森 利和
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2015 年 48 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

充分に糊化された米飯の構造とテクスチャーとの関係を明らかにするため,4種類の浸漬時間の異なる浸漬米(10℃ 0分,20分,60分,120分)を調製し,同一条件で炊飯した米飯の構造や物性を評価した。SEMでの米飯の割断面構造観察から,割断面表層付近には多孔質構造があり,最表面には緻密な層が確認できた。浸漬時間が長くなるにつれ,多孔質構造が徐々に拡大し,緻密層は120分で急激に厚くなることが分かった。また,テクスチャー試験から,浸漬時間が長くなるほど弾性率が小さくなり,破断エネルギーや粘性率も60分まで減少後,120分で増加に転じた。多孔質構造とテクスチャーとの相関を定量評価するため,画像解析により多孔質構造の孔の平均面積を求めたところ,浸漬米の水分率や弾性率と高い相関を示すことが分かった。
以上の結果より,従来の糊化度評価では差がない炊飯米において,構造と破断エネルギーや弾性率といったテクスチャーとの関係を示すことに成功し,構造観察から食感を推察できる可能性を示した。

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© 2015 一般社団法人日本調理科学会
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