日本調理科学会誌
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ビスケットの品質・嗜好性にパラチノース®が及ぼす影響
大喜多 祥子花﨑 憲子和田 淑子倉賀野 妙子
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2015 年 48 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

ビスケットの品質・嗜好性に及ぼすパラチノースの影響を検討するために,砂糖と置換するパラチノースの代替率を様々に変えたビスケットを調製し,生地の物性,焼成品の形状・官能評価,保存時の吸湿性を比較した。その結果,パラチノース溶液で調製した湿グルテンは砂糖に比べて圧縮時の応力値,エネルギー値ともに大きかった。ビスケット生地でも同様であった。したがって,生地調製時に形成されるグルテンの性状の相違が,生地物性に反映したと推察した。パラチノースは生地焼成時に垂直方向に大きく膨張させるため,焼成品は直径が小さく,厚さが大であった。パラチノースのみのビスケットは甘味が弱く,硬く,外観・甘味・風味が好まれず,総合的に好ましくないと評価された。パラチノースの代替率を60%にすると嗜好性が顕著に改善し,50%にすると砂糖のみの製品と変わらない嗜好性評価を得た。パラチノースのビスケットは,砂糖のビスケットに比べ水分活性が低いことから,保存性や物性変化の面で利用効果が期待できた。

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© 2015 一般社団法人日本調理科学会
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