抄録
日本人の魚介類摂取量は大きく減少し,魚介類の食文化や郷土料理は今後失われていく可能性があると考えられる。本研究では,岡山県における魚介類や郷土料理の喫食状況を把握と,南部・北部における魚介類の喫食状況の比較を行った。日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学―魚介類の調理―」により得られたデータを全国,中国・四国,岡山県の3つに分類して比較を行った。岡山県での特色のある魚介類として,サワラ,シタビラメ,アミ,イイダコ,サッパが挙げられる。1人当たりのサワラ料理の数は全国0.45,中国・四国0.60に比較し,岡山県が1.57と圧倒的に高い割合を示した。サワラの調理法では,全国,中国・四国ではほとんどが焼き物で食べられているが,岡山県では生ものや煮物が多く,地域間に有意差が認められた(P<0.01)。岡山県の特色ある郷土料理を次の世代に継承することが必要と考えられる。