日本調理科学会誌
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対馬の伝統食品せんの調理性
松本 美鈴柳瀬 弘子市川 朝子
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2016 年 49 巻 1 号 p. 43-48

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抄録
 発酵を伴う加工法により,さつまいもから製造された対馬の伝統的な加工食品であるせんの糊化特性,糊液のテクスチャー特性およびゲルの破断特性を,さつまいも粉およびさつまいもでんぷんと比較しながら,検討した。
 せんの主成分は,さつまいも粉およびさつまいもでんぷんと同様にでんぷんであるが,水溶性および不溶性繊維をせんはそれぞれ0.9%,1.8%,さつまいも粉は3.0%,5.7%含有した。せんのでんぷん糊化の開始温度,ピーク温度および終了温度は,それぞれ65.3℃,72.5℃,80.2℃であった。このようなせんの糊化特性は,さつまいもでんぷんと類似していた。試料濃度1~12%における糊液のテクスチャー試験では,せん糊液は他の試料より硬く付着性が強かった。また,15%ゲルの破断試験では,せんのゲルは,さつまいも粉のゲルより硬く弾力があり,さつまいもでんぷんのゲルの破断特性に類似した性状であることが分かった。
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© 2016 一般社団法人日本調理科学会
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