日本調理科学会誌
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49 巻 , 1 号
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総説
報文
  • 長田 早苗, 青柳 康夫
    2016 年 49 巻 1 号 p. 7-18
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     加熱処理が,アブラナ科野菜中のGSL含有量へ及ぼす影響を検討し,以下の結果を得た。
    1.クレソンおよびブロッコリーに含まれるGSLは,50~60℃で加熱した時に最も損失が大きかった。
    2.中心温度95℃まで加熱したブロッコリーには,脂肪族系GSLが約80%残存した。インドール系GSLの残存率は,GSL の種類によって約20~75%の幅があった。
    3.茄で後のブロッコリーに含まれるGSLは,脂肪族系およびインドール系ともに,茄で時間が長いほど減少した。茄で水中には一定量しか残存せず,脂肪族系では約7%,インドール系では約18~20%であった。
    4.茄で水量の違いによるブロッコリーのGSL残存率については,ほとんど差異が認められなかった。
    5.中心温度95℃まで蒸し加熱,過熱水蒸気による加熱,真空調理を行った結果,GSLの損失は見られなかった。
  • 露木 理紗子, 鈴木 啓一, 飯田 文子
    2016 年 49 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     本研究は焼成調理における牛肉官能特性に及ぼす脂肪酸組成の影響を検討するため,異なる脂肪酸組成の牛肉を用いて官能評価,破断測定および調理損失率の分析を行った。
     官能評価の結果,高一価不飽和脂肪酸(MUFA)試料は「やわらかさ」「総合的食感」が低く評価された。一方,「風味の強さ」は高く評価された。その原因は高い破断特性値および調理損失であった。高MUFA試料は脂肪融点が低下し,焼成調理において脂肪および肉汁の流出が増大し,テクスチャー評価が低下することが示唆された。
     以上より,焼成調理において過度なMUFA割合の増加はテクスチャーに悪影響を与え,食味特性の高い牛肉には各脂肪酸の適当な割合があることが示唆された。本研究において,官能特性が高い牛肉のMUFA割合は56~59%であった。
  • 中村 恵子, 中本 恵子, 八木 千鶴, 渡辺 豊子, 石渡 仁子, 大石 恭子, 高崎 禎子, 松田 康子, 山形 純子, 伊與田 浩志, ...
    2016 年 49 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     肉類のオーブン加熱後の内部温度変化に及ぼす加熱及び放置条件,角皿の熱容量,試料の厚さの影響を明らかにすることを目的に実験を行った。
     オーブン加熱終了後に角皿に覆いをすると覆いをしない場合より,試料中心温度は75℃以上の高温を長時間保った。試料の最高到達温度は覆いの影響を受けなかったが,重量減少率は覆いをした方が大きかった。角皿の熱容量(重量/底面積比)が大きいほど,試料中心部の75℃以上の保持時間は長かった。余熱効果を得るためには,重量/底面積比が大きい角皿を用い,かつ覆いをすることが必要であった。試料の厚さは,試料の最高到達温度に影響し薄いほど高くなったが,保持時間には影響しなかった。角皿内の水平方向の熱移動を加味した計算モデルで試料中心部の75℃以上の保持時間を予測し比較したところ,実測値と同様の傾向が得られ,伝熱モデルの有用性を確認することができた。
  • 大石 恭子, 石渡 仁子, 高崎 禎子, 中村 恵子, 松田 康子, 伊與田 浩志, 杉山 久仁子, 渋川 祥子
    2016 年 49 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     230℃で食肉のオーブン加熱を行い,角皿の熱容量およびオーブンの加熱能の違いが加熱後の余熱による温度変化に与える影響について調べた。加熱時はオーブンの加熱能が大きいほど試料の昇温速度が大きいが,放置時の試料の温度変化は角皿熱容量が大きいほど加熱後の上昇温度が大きく,75℃保持時間が長くなることが示された。
     また,覆い時間の短縮により試料の重量減少率が低下し,軟らかくなる傾向が見られ,衛生条件および調理成績を保持するには,食品の最高温度到達時間まで被覆することが目安になることが示された。
ノート
  • 松本 美鈴, 柳瀬 弘子, 市川 朝子
    2016 年 49 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     発酵を伴う加工法により,さつまいもから製造された対馬の伝統的な加工食品であるせんの糊化特性,糊液のテクスチャー特性およびゲルの破断特性を,さつまいも粉およびさつまいもでんぷんと比較しながら,検討した。
     せんの主成分は,さつまいも粉およびさつまいもでんぷんと同様にでんぷんであるが,水溶性および不溶性繊維をせんはそれぞれ0.9%,1.8%,さつまいも粉は3.0%,5.7%含有した。せんのでんぷん糊化の開始温度,ピーク温度および終了温度は,それぞれ65.3℃,72.5℃,80.2℃であった。このようなせんの糊化特性は,さつまいもでんぷんと類似していた。試料濃度1~12%における糊液のテクスチャー試験では,せん糊液は他の試料より硬く付着性が強かった。また,15%ゲルの破断試験では,せんのゲルは,さつまいも粉のゲルより硬く弾力があり,さつまいもでんぷんのゲルの破断特性に類似した性状であることが分かった。
資料
  • 肥後 温子, 井部 奈生子, 大坪 俊輔, 大楠 秀樹
    2016 年 49 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     9種類の穀粉; 薄力小麦粉,薄力小麦全粒粉,米粉,玄米粉,赤米粉,トウモロコシ粉,そば粉,ひえ粉およびあわ粉を用い,各々生粉と焙焼粉で作製したクッキー焼成品について官能的な評価とレオロジカルな客観評価とを行ったところ,以下に要約するような評価が得られた。
     (1)穀粉を焙焼すると硬さが低減してもろい焼成品となり,口どけが改善された。また,(2)穀粉を焙焼すると味・あと味,香りが改善されて,総合的に好ましい評価となった。(3)総合的評価で高得点を得たクッキーは,生および焙焼小麦,焙焼小麦(全粒),焙焼玄米および焙焼トウモロコシの製品であった。(4)焙焼による硬さの低減効果が特に大きいのは米粉であった。
  • 間宮 貴代子, 小出 あつみ, 阪野 朋子, 松本 貴志子, 山内 知子
    2016 年 49 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     本研究では愛知県の雑煮を構成する食材について検討した。愛知県の雑煮の食材構成では,東日本で多く使用された角餅に,醤油とかつおだしの清まし仕立てが多かったが,これは味噌仕立を嫌った武家社会の歴史的影響である。具は古くからの形式が現在も維持され,縁起担ぎから,尾張地域在来の餅菜が使用され,かまぼこ・なるとを加え,かつお削り節を添えていた。しかし,尾張地域と三河地域には相違点がみられた。和風風味調味料の使用が,女性の労働力率が高い三河地域で有意に多かった。また,三河地域の雑煮の具は,収穫量が多い白菜,豆腐・油揚げ(大豆),人参を使用する地産地消の傾向が伺え,尾張地域より多彩な具であった。
  • 石原 三妃, 大森 恵美, 水野 尚子
    2016 年 49 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     管理栄養士・栄養士養成施設に適した調理学実習の必要度について管理栄養士・栄養士を対象にアンケート調査を行い調理の学習内容について検討した。
     アンケートは,選択回答法と自由回答法を用いて行い,施設種類ごとの評価を分析した。
     その結果,いずれの施設でも基本の料理や知識が大切であることが示された。また,施設種類によって必要な調理操作や料理は異なった。特に対象となるライフステージにより,必要な料理が異なり,病院,高齢者施設および乳幼児を対象とする保育園・幼稚園ではやわらかい料理の必要度が高かった。
     調理操作においては,魚の下処理に関する操作は行政では必要度が高く,他の病院,高齢者施設など給食施設では低かった。切砕操作は,日常食に用いる基本の切り方は,いずれの施設でも有意差なく,必要度が高いと評価されていた。
  • 池 晶子, 山本 紗由美, 川瀬 雅也
    2016 年 49 巻 1 号 p. 74-81
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
     水道水の水質は,原水である河川水,地下水,湧水の質を反映する。なかでも含有ミネラル成分濃度や硬度は水道水の味に多様性を与えているとの報告がある。本研究では水道水に比較的高濃度に含まれるNa, Ca, K, Mg, Siの濃度およびpHやTOCなどの物性をもとに国内の20か所の水道水を主成分分析にて分類し,判別分析により味の評価結果との関連性を調べた。その結果,水道水は地域ごとに似かよった水質特性を示し,水道水の取水地の地表水,地下水の別に共通する特徴が見られた。また,Si濃度やCa濃度が低いグループには,地表水が多く,味の評価の高いものが多く含まれていた。さらに,判別分析ではSi濃度,Ca濃度,pHの判別係数が高く,主成分分析での結果と矛盾しなかった。
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