抄録
雑穀の多くは,米や小麦の代替として主食に使われている。雑穀の新たな利用法として金沢の伝統食品じろ飴を参考に雑穀糖化液の試作を行った。用いた雑穀はアワ,キビ,ヒエ,ダッタンソバ,大麦の5種類で,それぞれからBrix約20%の糖化液Aと,これを濃縮したBrix40%の糖化液Bを調製し,基礎特性および官能評価を行って,一次加工品としての糖化液の可能性を検討した。糖化液A,Bの糖組成はマルトース主体であった。糖化液Bでは,マルトースに比べ甘味度が高いグルコースおよびフルクトースが増加していた。また,いずれの糖化液も糖化液Aに対する糖化液BのL*値が小さく,暗い色調に変化していた。さらに加熱による香気成分の減少が確認された。官能評価では色調の薄い糖化液が好まれ,香りの項目では特定の香気成分の検出量が多い糖化液は好まれなかった。各糖化液は色,香りなどに特徴があり,嗜好面でも好みに差があった。それぞれの特徴にあった調理に利用することができれば,糖化液は調理用の一次加工品として利用価値が向上すると期待される。