日本調理科学会誌
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抹茶および粉末緑茶の化学成分
堀江 秀樹江間 かおり角川 修
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2017 年 50 巻 5 号 p. 182-188

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抄録

 茶道用の抹茶以外に,「抹茶」と表示された粉末状の茶が食品産業や料理用に流通しており,本報ではこれらを業務用抹茶と記載する。さらには,抹茶とは表示されていない粉末緑茶も市販されている。しかしながら,これら粉末状の茶については品質に関する情報が乏しい。
 そこで,本研究においては,これらの粉末状の緑茶について化学成分を比較した。まず,抹茶原料であるてん茶について,品質の異なるものを10 種類収集し化学分析した。分析結果に基づき,市販の抹茶や粉末緑茶のテアニン,クロロフィルa(Chl-a)の含量,エピガロカテキンガレート/エピガロカテキン(EGCG/EGC)の重量比について比較した。茶道用抹茶のテアニン含量およびEGCG/EGC比は,それぞれ乾物100 g当たり1.8 gおよび3.2以上であった。業務用抹茶と粉末緑茶の大部分ではより低い値を示した。しかしながら,これらのパラメータだけでは加工用抹茶と粉末緑茶の判別はできなかった。茶道用抹茶のChl-a含量は250 mg/100 g乾物重以上であった。玉露粉以外の粉末緑茶試料では,茶道用や業務用の抹茶よりもChl-a含量が低かった。

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© 2017 一般社団法人日本調理科学会
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