日本調理科学会誌
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食品の粒子感覚に及ぼす粒子特性と分散媒の影響
中野 優子笠松 千夏野中 雅彦香西 みどり
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2018 年 51 巻 6 号 p. 326-335

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抄録

 食品のテクスチャーのうち,食品中の粒子に起因する粒子感覚に着目し,粒子の特性や分散媒の状態が粒子感覚の強度および受容度に与える影響を検討した。粒度の異なる微結晶セルロースと乾燥さらし餡を用いて検討した結果,粒子感覚の受容度は,粒子感覚の強度,真円度,最大摩擦係数,摩擦係数の標準偏差,メジアン径と有意な相関があった。濃度の異なる微結晶セルロースを用いて分散媒の粘度が粒子感覚に与える影響を検討した結果,粒子濃度が低い場合には,分散媒への粘度づけにより粒子感覚は弱まり,受容度は高まったが,粒子濃度が高いと粘度づけの効果は弱まった。分散媒の甘味,塩味は粒子感覚を弱め,受容度を高めたが,酸味,苦味,うま味ではそうした効果は得られなかった。口中における粒子感覚と受容度には,粒子の種々の特性や分散媒の粘度及び味質が影響し,これらの要因によって粒子感覚を制御可能であることが示唆された。

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© 2018 一般社団法人日本調理科学会
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