日本調理科学会誌
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51 巻, 6 号
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総説
報文
  • 高橋 ひとみ, 佐治 伸郎, 柳沢 幸江
    2018 年51 巻6 号 p. 315-325
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー
     本研究は,調理の初心者と熟練者の調理行動を分析し,調理操作,調理の段取りの特性を明らかにすることを目的にした。豚肉のしょうが焼き,ほうれん草のお浸しの2品の組み合わせを2回連続して調理させ,1回目調理と2回目調理の差を検討した。
     調理操作で初心者と熟練者で有意差がみられた項目は,全調理時間,レシピを見た時間,レシピを見た回数,総移動距離,キャベツせん切り時間とせん切り太さ,ほうれん草の加熱時間,及び仕上がりの硬さであった。
     調理の段取りでは,初心者の1回目調理は,レシピの提示順に則った段取りであった。一方,熟練者は時間のかかる操作を先にした効率のよい段取りを導きだすことができた。初心者も2回目調理では,熟練者の段取りに近づいた。
     すなわち,段取りの策定に関しては,自ら調理することは,1回の経験でも学習効果が得られることが示された。
  • 中野 優子, 笠松 千夏, 野中 雅彦, 香西 みどり
    2018 年51 巻6 号 p. 326-335
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー
     食品のテクスチャーのうち,食品中の粒子に起因する粒子感覚に着目し,粒子の特性や分散媒の状態が粒子感覚の強度および受容度に与える影響を検討した。粒度の異なる微結晶セルロースと乾燥さらし餡を用いて検討した結果,粒子感覚の受容度は,粒子感覚の強度,真円度,最大摩擦係数,摩擦係数の標準偏差,メジアン径と有意な相関があった。濃度の異なる微結晶セルロースを用いて分散媒の粘度が粒子感覚に与える影響を検討した結果,粒子濃度が低い場合には,分散媒への粘度づけにより粒子感覚は弱まり,受容度は高まったが,粒子濃度が高いと粘度づけの効果は弱まった。分散媒の甘味,塩味は粒子感覚を弱め,受容度を高めたが,酸味,苦味,うま味ではそうした効果は得られなかった。口中における粒子感覚と受容度には,粒子の種々の特性や分散媒の粘度及び味質が影響し,これらの要因によって粒子感覚を制御可能であることが示唆された。
ノート
  • 金髙 有里, 名倉 秀子
    2018 年51 巻6 号 p. 336-343
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー
     近年,離乳食調理において,手間や時間の短縮のためフリージングの活用が広まっている。
     しかし,フリージングした離乳食用食材のテクスチャーや栄養価の報告は少ない。そこで,にんじんとほうれんそうを用い,ゆで調理,フリージング後の解凍方法の違いによる影響を検討した。
     食材はゆでおよび切砕後,ポーションに分けて一定期間フリージングした。2種の急速解凍(ゆで解凍,マイクロ波解凍)を行い,各々の重量変化・テクスチャー,栄養価を検討した。
     急速解凍後の重量変化率はにんじん,ほうれんそう共に,ゆで解凍の方が高くなった。テクスチャーのかたさ応力は,にんじんにおいてマイクロ波解凍で低下した。栄養価の損失は,ビタミンC,葉酸,鉄においてゆで解凍の方が大きかった。
     離乳食調理におけるマイクロ波の利用は,ゆで解凍と比較して簡便であり,栄養価の損失が少なく,テクスチャーの観点からも望ましい調理法であることが明らかとなった。
資料
  • 古田 歩, 多山 賢二, 荒木 彩, 濱川 祐実, 岡本 洋子, 谷本 昌太
    2018 年51 巻6 号 p. 344-350
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー
     スチコンによる加熱が,5種類の食材(カボチャ,ジャガイモ,コンニャク,加熱卵白,カマボコ)のテクスチャー,ナトリウムイオン(Na)とグルコース拡散量および味に及ぼす影響について調べた。
     実験条件は,コンビスチームモード,蒸気量100%,庫内温度160℃で,5分,10分,20分加熱の3条件とした。3%塩化ナトリウムおよび10%グルコースを含む溶液中で加熱調理を実施し,重量測定,色彩値測定,テクスチャー解析,試料中のNaおよびグルコース量の測定および官能評価を行った。
     (1) テクスチャー解析では,カボチャは20分加熱で,ジャガイモは10分加熱で初期の軟化がおおよそ完了した。
     (2) 試料中のNa量は,加熱前は各々濃度の異なる試料だったにも関わらず,20分加熱を行うとNa量が同等レベルになった。一方,グルコース量は10分加熱において,新たに拡散した量が5食材間でほとんど同じであった。
     (3) 官能評価では,コンニャクにおいて10分加熱が美味しいと評価された。
  • 澤田 崇子, 池内 ますみ, 上中 登紀子, 奥田 展子, 志垣 瞳, 須谷 和子, 長尾 綾子, 花﨑 憲子, 升井 洋至, 三浦 さつき ...
    2018 年51 巻6 号 p. 351-358
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/17
    ジャーナル フリー
     2012年に関西地区における煮物調理の実態調査を,大学生・短期大学生および保育園・幼稚園児の家庭を対象にアンケート調査を実施し,これまでの調査結果と比較した。また,圧力鍋の利用実態についても同時に調査した。その結果,料理をする時の意識として,「手軽さ・時間」への意識が高くなり,「健康」への意識が低くなっていた。煮物を食べる頻度や作る頻度は減少傾向がみられ,買う頻度は大きく減少した。圧力鍋の所有者は全体の43.8%で,30歳以上では,30歳以上の合計の45%以上所有していた。煮物を食べる頻度,作る頻度は圧力鍋を所有する人の方が所有しない人より高かった。
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