日本調理科学会誌
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大正末期から昭和初期の食生活におけるジャガイモの位置づけ
関本 美貴
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キーワード: ジャガイモ, 食文化, 調理
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2019 年 52 巻 3 号 p. 138-146

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抄録

 ジャガイモは明治時代以降急速に普及が進んだ作物であり,現在はイモ類の中でもっとも多く食べられている。本研究では,ジャガイモの普及に関わる要因を生活者の視点から明らかにすることを目的に,大正末期から昭和初期の食生活におけるジャガイモの位置づけについて調査を行った。

 資料として「日本の食生活全集都道府県別編纂全50巻」およびそのCD-ROMを用いた。資料よりジャガイモに関する記述を収集し,その特徴により分類を試みた。

 ジャガイモの食生活上の位置づけは,洋風料理の材料,穀物の代用,小昼やおやつの材料,汁の実,煮物の材料と多岐にわたっていた。また地域によって位置づけは大きく異なり,自然環境やジャガイモ利用の歴史が関与していたことが示唆された。ジャガイモの優れた調理上の特性が各地の料理に生かされており,これが食品材料としてジャガイモが普及した要因の一つであると推察した。

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