日本調理科学会誌
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調製方法が打ち物「和三盆」の物理特性に及ぼす影響
村上 陽子
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2020 年 53 巻 1 号 p. 18-24

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抄録

 干菓子とは,水分含量の少ない,乾燥した和菓子の総称である。代表的な干菓子の一つに,落雁や和三盆糖などの打ち物がある。打ち物は,粉状の材料(砂糖や麦粉など)を成形して作られ,口に含むと風味のよい甘さを呈し,口の中で溶けるという特徴をもつ。本研究では,打ち物の製法について検討した。

 まず,打ち物の調製方法について,文献調査を行った。その結果,打ち物の製法は,使う材料(砂糖,米粉,その他)の種類によって,4つに分類された。

 この結果をもとに,糖類のみを使った打ち物「和三盆」を対象として,砂糖の種類が色彩構成や物理特性(硬さ)に及ぼす影響を検討した。和三盆糖で作った打ち物の方が,上白糖で作ったものよりも硬く,明度が低かった。

 ネキ水は,打ち物を調製する際に用いるもので,水飴を含む水である。ネキ水の添加方法の相違は,打ち物の硬さに影響を及ぼした。また,打ち物は,水飴を含まない水のみの場合よりも,水飴を含むネキ水を使った方が作りやすかった。

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© 2020 一般社団法人日本調理科学会
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