日本調理科学会誌
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小学校家庭科教科書における鍋による炊飯加熱過程の表現に対する教員志望大学生の理解
白杉(片岡) 直子作田 はるみ橘 ゆかり岸田 恵津坂本 薫井奥 加奈森井 沙衣子升井 洋至堀内 美和中谷 梢三浦 加代子片平 理子
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2020 年 53 巻 2 号 p. 114-126

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抄録

 小学校教員志望学生を対象に,家庭科教科書における鍋による炊飯(鍋炊飯)の加熱過程の表現に対する理解の程度や難易の感じ方を調査した。「火加減の調節」では強火と比べ中火と弱火の調整を難しく感じていた。「加熱時間の調整」では,幅のある加熱時間の表記に難しさを感じていた。学生の大半は教科書に示された「炊飯の状態」の表現を参考に火加減の調節をするとよいと答えたが,最も判断に困ったのも「炊飯の状態」であった。「水が引く」の馴染みのない表現や,「吹きこぼれない程度」のように経験しないと分からない事象,音やにおいに頼った判断に不安を感じていた。ガラス鍋と文化鍋の使用目的や特性,「炊飯の状態」の判断の仕方の違いを区別して示す必要があると考えられた。児童に鍋炊飯を実習指導することは,「学生の鍋炊飯に対する経験不足」,「児童が判断することの難しさ」,「授業運営の難しさ」の3要因が重なり,約90%の学生が難しいと考えていた。

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© 2020 一般社団法人日本調理科学会
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