2020 年 53 巻 2 号 p. 127-135
大分県別府市では,温泉を使った調理法として地獄蒸しが有名であり,調理特性等に関する報告が多数なされているが,温泉水そのものを調理に利用した事例は少ない。そこで本研究では,水の代わりに温泉水そのものを調理に使用したときの特徴を明らかにしようとした。カスタードプディング,茶碗蒸し,豆腐は,使用する牛乳または水の一部を別府鉄輪温泉水に置き換えて調理した。うどんは,乾麺の茹で水として別府鉄輪温泉水を使用した。各食品の物性測定を行い,カスタードプディング,茶碗蒸し,うどんは官能評価を行った。その結果,物性測定では,別府鉄輪温泉水を使用したカスタードプディング,茶碗蒸しは硬く,豆腐は軟らかくなった。官能評価では,茶碗蒸し,うどんにおいて塩味が強くおいしいと評価された。別府鉄輪温泉水を使用することで,これらの食品の硬さや味に影響を及ぼすことが示唆された。