煮込み料理の調味における煮汁の粘度の影響を明らかにすることを目的とし,NaClを添加したデンプン糊液中にダイコンを浸漬し,ダイコン中のNaClのみかけの拡散係数(Dapp)を求めた。Dappはデンプンなしに比べてデンプン濃度が3%および5%の場合にバレイショデンプンおよびコーンスターチのいずれもデンプン濃度が高い方が小さく,同濃度ではコーンスターチよりもバレイショデンプンの方が小さかった。デンプン糊液中に浸漬したダイコン内部のNaCl濃度はデンプンなしに比べて表層部の濃度上昇が遅れたことから,浸漬液の粘度が高いことでダイコン表面部へのNaClの付着量が少なくなり,表層部分の濃度上昇が遅れたことがDappの低下に寄与したと考えられた。