日本調理科学会誌
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寿司の摂取状況とすし飯の味付けの評価
奥谷 香坂本 薫
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2020 年 53 巻 5 号 p. 335-343

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抄録

 近年,行事食や伝統料理,郷土料理などを若年層へ受け継ぎにくいことが報告されている。若い世代へこれらを伝えていくためには,世代や居住地域による嗜好の違い等を把握し,地域の食を伝承していく課題を見出す必要があると考えられる。そこで,行事食や伝統料理,郷土料理として日本人に受け継がれてきた寿司(早ズシ)の摂取状況調査とすし飯の官能評価を行い,寿司の摂取状況やすし飯の味付けの評価に世代や居住地域の違いがどのように関連するかについて検討した。その結果,食べることが最も多い寿司の種類は,どの世代も「にぎり寿司」であり,入手方法は若い世代は「回転寿司」が最も多かった。さらに,若い世代は普段の食事として寿司を食べており,すし飯の嗜好は世代や居住地域の違いで異なっていることが明らかとなった。地域の食を伝承していくためには,特徴をいかしつつ,文化的背景を知らせたり,味付けの一部をアレンジしたりし,興味を持ち,食べてみたいと思う取組を行うなどの工夫が必要であると考えられた。

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© 2020 一般社団法人日本調理科学会
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