蒸し調理におけるカブの甘味と嗜好特性について,ゆで調理及び電子レンジ調理と比較して検証した。加熱調理によりカブは軟化し,ショ糖,ブドウ糖,果糖を合計した糖総量は蒸し調理では非加熱と有意差がなかったが,電子レンジ調理は有意に多く,ゆで調理は少なかった。官能評価では,蒸し調理試料の甘さとジューシーさの評点が非加熱よりも有意に高く,総合評価で好ましいと評価された。電子レンジ調理試料も蒸し調理と同等に甘いと評価された。蒸し調理後の糖総量は変化せず,甘味の増加と糖含量は対応しなかった。加圧試験から,蒸し調理では糖が溶出することなく組織が軟化し,滲出液に含まれる糖により甘さとジューシーさが増すと考えられた。電子レンジ調理により甘く感じられるのは,水分が蒸発して含有糖濃度が上昇するためと示唆された。相関分析より,蒸し調理試料の総合評価は,甘さ及びジューシーさと正の相関が認められた。いずれの加熱調理でも,甘さと総合評価に正の相関があり,甘いと好ましいと評価されることが示唆された。