未熟・完熟山椒エキスが,塩分を控えた食品の風味に対してどのような影響を及ぼすかをVAS法及びTI法による官能評価により検証した。未熟・完熟山椒エキスはともに,塩分が低いかつお出汁の味を強める効果があることがわかり,減塩に役立つ可能性が示唆された。特に,完熟山椒エキスは,水っぽさのなさ,満足度やおいしさの向上にも効果的であった。未熟・完熟山椒エキスでは,味の増強効果が異なり,先味を強める未熟山椒エキスに対し,完熟山椒エキスは,味の持続性を高めることがわかった。両エキスの有効成分を同定するために,山椒エキス分画物の味の増強効果をTI法により評価した。その結果,完熟山椒の有効成分は,サンショール類とは異なる,フラクション2に含まれる成分であると考えられた。その成分は,サンショール類の味の増強効果の持続性を高める効果がある可能性が示唆された。