日本調理科学会誌
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電子レンジを利用したスポンジケーキの品質特性および嗜好性に及ぼす材料配合の影響
松浦 朋子柴田 圭子
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2021 年 54 巻 5 号 p. 224-233

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抄録

 本研究は,混合計画を用いて,薄力小麦粉と砂糖の配合比を各々30%に固定した条件下で,3材料(卵:水:油)の配合比がケーキの性状および嗜好性に及ぼす影響を明らかにし,電子レンジ加熱に適した材料配合比を検討した。その結果,卵の増加は,バッター密度を低下させ,ケーキの比容積を増大させるが,不均一な組織構造の形成を助長した。同時に破断特性値を上昇させ,組織構造を強靭にする傾向が認められた。水の増加は,ケーキ底面の空洞形成を助長する傾向が認められた。油の増加は,比容積や破断歪率を低下させ,組織構造の脆弱化を助長する傾向が認められた。また,温度上昇を緩和する傾向が確認された。嗜好型官能評価では,卵の減少と水・油の増加に伴い,やわらかさ,口どけ,しっとりさ,油っぽさ,総合評価の向上が認められた。官能評価得点に基づく最適化分析より,電子レンジ加熱に適した配合比は「卵20.0%:水12.5%:油7.5%」と結論付けた。

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© 2021 一般社団法人日本調理科学会
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