日本調理科学会誌
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冷凍・解凍した麺の性状および構造に及ぼす結晶性セルロースの影響
吉村 美紀細田 捺希赤田 樹池田 匠原 信岳高山 裕貴
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2021 年 54 巻 6 号 p. 266-273

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抄録

 小麦単独麺(C)と結晶性セルロースを混合した麺(SA)の,茹で後,冷凍・解凍後の麺およびゲルの物性・官能評価及び構造に及ぼす影響を検討した。

 冷凍・解凍後麺粉ゲル(CG-F,SAG-F)は,麺粉ゲル(CG,SAG)と比較し,初期弾性率と歪0.3のかたさは,有意に高値を示し,破断歪0.42~0.63の破断応力は,有意に低値を示した。SAG-Fは,CG-Fの破断応力と比較し,有意に高値を示し,結晶性セルロース混合により冷凍・解凍操作による軟化を抑えることが推察された。

 官能評価では,冷凍・解凍後混合麺(SA-F)はC-Fと比較し,水っぽさが少なく,硬く,こしがあると有意に評価された。結晶性セルロースが水分の分布状態を保つことが推察された。放射光X線マイクロCT観察より,乾麺(C,SA)の内部に隙間構造があり,でんぷんの凝集が観察された。結晶性セルロース混合麺(SA)の隙間構造は広く,でんぷんの凝集が多く観察され,冷凍・解凍後に硬さを保つ可能性が示唆された。

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