2022 年 55 巻 1 号 p. 30-39
煎茶葉4点を用いて淹れた3煎目までの煎出液について,呈味成分の定量と女子学生を被験者とした呈味嗜好性の調査を行った。その結果,煎茶葉および煎出回数の違いによって各煎出液中のタンニン,カフェイン,グルタミン酸等の呈味成分量は大きな違いがあった。被験者の煎茶煎出液の呈味嗜好性は,煎出液中の苦渋味に関与するタンニンとカフェイン,およびうま味に関与するグルタミン酸の量が中程度および構成比が概ね4:1となる場合で高いことが明らかとなった。また,日常の緑茶摂取頻度および家族の緑茶飲用状況が高い被験者では,緑茶のうま味や美味しさの嗜好性が高かったことから,緑茶葉を用いて淹れた緑茶を飲用できる環境が整う事で若い世代の人々に緑茶飲用を継承できていくと推察した。