日本調理科学会誌
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酒粕が松風(蒸し菓子)の物理特性および食嗜好性に及ぼす影響
鳥居 優理香村上 陽子
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2022 年 55 巻 4 号 p. 184-190

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抄録

 酒粕は日本酒の製造過程で作られる副産物である。酒粕は,漬物や汁物など様々な調理で使われており,他の発酵食品同様,和食を支えてきた。副産物である酒粕を利用することは,日本の「もったいない文化」の象徴であるとともに,学校教育で求められている持続可能な社会をつくるための取組みに繋がる。本研究では,我が国の伝統的な食文化の一つである和菓子のうち,蒸し菓子である「松風」に着目した。松風には,煎餅様の焼き菓子,カステラ様の焼き菓子,蒸して作る蒸し菓子など,様々な種類がある。本稿では,蒸し菓子「松風」に着目し,酒粕を添加した場合の松風の物理特性や食嗜好性に及ぼす影響について検討した。

 その結果,酒粕の添加により,松風の硬さは有意に低下した。松風の色彩構成は,酒粕添加に伴い,赤みや黄みが増した。食嗜好性においては,酒粕を10~30%添加することにより,香り,軟らかさ,味などの面から嗜好性が向上することが明らかになった。

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© 2022 一般社団法人日本調理科学会
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