日本調理科学会誌
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群馬県嬬恋村の伝統食品「くろこ」の澱粉の諸性質とパンへの応用
髙橋 雅子阿部 雅子大田原 美保富澤 歩美村松 芳多子綾部 園子
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2025 年 58 巻 3 号 p. 128-135

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抄録

 「くろこ」はジャガイモからデンプンを取り除いたデンプン粕を冬季の屋外で半年保蔵して製造される群馬県嬬恋村の伝統食品である。我々は「くろこ」および「くろこ澱粉」の特性を「しろこ」および「しろこ澱粉」と比較して明らかにするとともに,新規利用法としてパンへの応用を試み,その調理特性や嗜好性について検討した。その結果,顕微鏡観察により,くろこおよびくろこ澱粉では表面が損傷しているデンプン粒が観察された。くろこ澱粉の粒径はしろこ澱粉よりも分布範囲が広く,大きい粒が多かった。澱粉損傷度はくろこの方が有意に高値であった。示差走査熱量測定(DSC)から,くろこはしろこよりも糊化開始温度が低く,吸熱量も少なく糊化しやすいことが示唆された。くろこは80℃以上の高温で溶解度が高く,損傷澱粉の特徴と一致した。膨潤力はしろこより,小さかったが,これはくろこに含まれるたんぱく質などの影響がその一因であると考えられた。くろこを用いたパンは,基準のパンに比べて内相の色がくすみ,硬かったが,強力粉の1/6程度の置換であれば,受容されるパンであることが明らかになった。

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