日本調理科学会誌
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58 巻, 3 号
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総説
報文
  • 髙橋 雅子, 阿部 雅子, 大田原 美保, 富澤 歩美, 村松 芳多子, 綾部 園子
    原稿種別: 報文
    2025 年58 巻3 号 p. 128-135
    発行日: 2025/06/05
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル 認証あり

     「くろこ」はジャガイモからデンプンを取り除いたデンプン粕を冬季の屋外で半年保蔵して製造される群馬県嬬恋村の伝統食品である。我々は「くろこ」および「くろこ澱粉」の特性を「しろこ」および「しろこ澱粉」と比較して明らかにするとともに,新規利用法としてパンへの応用を試み,その調理特性や嗜好性について検討した。その結果,顕微鏡観察により,くろこおよびくろこ澱粉では表面が損傷しているデンプン粒が観察された。くろこ澱粉の粒径はしろこ澱粉よりも分布範囲が広く,大きい粒が多かった。澱粉損傷度はくろこの方が有意に高値であった。示差走査熱量測定(DSC)から,くろこはしろこよりも糊化開始温度が低く,吸熱量も少なく糊化しやすいことが示唆された。くろこは80℃以上の高温で溶解度が高く,損傷澱粉の特徴と一致した。膨潤力はしろこより,小さかったが,これはくろこに含まれるたんぱく質などの影響がその一因であると考えられた。くろこを用いたパンは,基準のパンに比べて内相の色がくすみ,硬かったが,強力粉の1/6程度の置換であれば,受容されるパンであることが明らかになった。

資料
  • 柴田(石渡) 奈緒美, 大場 君枝
    原稿種別: 資料
    2025 年58 巻3 号 p. 136-143
    発行日: 2025/06/05
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル 認証あり

     小学生の休日の昼食において喫食した食事内容と食事場所についてアンケート調査を行い,食事場所ごとに出現頻度の高い料理や品数を集計した。その結果,「自宅」は品数が少ない食事を喫食している児童の割合が多い一方,品数が多い食事を喫食している児童もいること,「自宅」と「祖父母・友人宅」では汁物や乳製品の出現割合が高いこと,「レストラン」は具のあるラーメンやハンバーガーとフライドポテトが多いことが分かった。お弁当を喫食している人の割合が高い「公園」と「習い事」では,品数の平均が3品を超えていたが,運動系の「習い事」ではおにぎりのみの献立や,栄養補給のためゼリーやスポーツ飲料の出現頻度が高かった。食事場所により食事内容が異なる原因として,衛生管理や注文の可否など環境の違いが挙げられる。そのため乳製品を喫食できない場所で昼食をとった際は,朝食・夕食で補うなど,食事場所に応じた具体的な助言が必要だと考えられる。

  • 長谷川 紘美, 柳沢 幸江
    原稿種別: 資料
    2025 年58 巻3 号 p. 144-150
    発行日: 2025/06/05
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル 認証あり

     管理栄養士養成課程の学生を対象とし,2か月間の包丁技術の反復練習を行い,不得意と認識している者の包丁技術の上達の経緯を把握し,包丁技術教育に繋げることを目的とした。

     長さと太さを調整したきゅうりの輪切りの薄切りの練習を週1回実施した。また,包丁に電気生理計測装置を取り付け,包丁技術測定を計3回実施した。包丁がまな板についてから次にまな板まで着くまでの時間を包丁サイクル平均時間とし,振り上げ動作を振り上げ最大加速度,包丁を前にスライドする動作を前方方向最大加速度とした。

     対象者は,包丁技術の自己評価により,得意群と不得意群に分け,反復練習で上達効果が見られたのは不得意群のみであり,1か月間で,枚数は有意に増加し,包丁サイクル平均時間は有意に減少し,上達が認められた。2か月間では,厚みと前方向最大加速度が有意に減少し,不得意群のみ反復練習の上達が認められた。

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