2026 年 59 巻 3 号 p. 173-179
澱粉の調理科学的特性に対する高pHの影響について調べるため,緩衝液を用いてアルカリ性に調整したタピオカ澱粉の諸特性について静的および動的粘弾性測定,DSC測定,顕微鏡観察,還元糖量の測定および色差測定により検討した。pHが10程度までは,3.00 wt%タピオカ澱粉糊液の粘度や粘弾性に大きな変化がなかった。また,糊化温度や糊化エンタルピーにも大きな変化はなかった。しかし,pHが9程度を超えるとアミロース鎖やアミロペクチン鎖の加水分解が起こった。また,pHが12程度を超えると澱粉粒子内の結晶構造と澱粉粒子が破壊された。その影響を受け,澱粉の糊化が起こりやすくなり,溶出した多くのアミロース鎖やアミロペクチン鎖の長さが短くなったことから,pHが12程度を超えるタピオカ澱粉糊液の粘弾性は著しく低下した。