2026 年 59 巻 5 号 p. 311-323
塩味強度は料理の嗜好性を左右するため,日本における減塩は依然として重要な課題である。本研究ではチキン・ブイヨンを対象とし,嗜好性を維持した減塩方法を検討した。先行研究により,鶏由来の油脂やクレアチンが塩味を増強することが示されているが,本研究では野菜由来成分の影響を官能評価により検証した。揮発性成分と非揮発性成分の関与を区別するため,評価者がノーズクリップ装着時と非装着時の条件で比較した。その結果,ブイヨンの塩味増強は主として鶏由来の非揮発性成分によることが確認された。一方,野菜由来の揮発性成分には塩味を抑制する作用が認められ,タマネギの非揮発性成分には顕著な塩味増強効果が示された。今後はこれら成分の同定と相互作用の解明が求められる。