調理科学
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加熱じゃがいもの硬さに及ぼす牛乳の影響
牧野 秀子吉松 藤子
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1981 年 14 巻 1 号 p. 59-63

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抄録

1) 1/2濃度の牛乳液で加熱したじゃがいもは,有意に硬さが増大した.
牛乳の成分別に,いもの硬さに及ぼす影響をしらべた結果では,次の傾向が認められた.牛乳の1/2濃度のカゼイン,カルシウム,リン酸の溶液で加熱したじゃがいもは,それぞれ有意に硬さが増大した.油脂混入液で加熱したいも及び加熱いもを油脂で被覆したものでは,硬さは有意に減少した.
2)慰農度の牛乳液で加熱したじゃがいものカルシウム含量は,対照にくらべて,1.73:1の量比で増加したことが認められた.
また同濃度の牛乳液で加熱したじゃがいものペクチンは,メタリン酸塩可溶劃分(ペクチン酸塩)が増加していることが認められた.このことから,じゃがいものペクチンは,加熱時に牛乳中のカルシウムと結合して劃分が変化し,いもを硬くする一要因となることがわかった.
3)牛乳液加熱いも,及び乳脂混入液加熱いもについて,官能検査により,硬さをたしかめたところ,前者は対照より硬くなり,後者は対照よりやわらかくなることが認められた.一般に,いもの煮汁中に,カゼイン,カルシウム,リン酸のいずれかの成分が溶解している場合,水煮よりもいもは硬くなると考えられる.
又,いもの煮汁中に,油脂が混入している場合,或は加熱いもに油脂が付着し,いずれも75℃以上であるか,75℃以上に加温した場合,水煮或は油脂付着がない場合よりも,いもはやわらかくなると考えられる.

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© 一般社団法人日本調理科学会
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