調理科学
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調理におけるしょう油含有調味液の成分変化に関する研究(第2報)
魚煮付け中のアセトアルデヒドおよびイソバレルアルデヒドの変化
石津 日出子伊勢村 啓子上田 隆蔵
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1981 年 14 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

しょう油含有調味液を用いて,さわらを煮付けた場合の煮汁の低級揮発性成分とくにアセトアルデヒドおよびイソバレルアルデヒドの変化を,しょう油含有調味液のみの場合を対照として検討した.
ヘッドスペースガスを試料としたガスクロマトグラフイーにより,煮汁などの試料中のアセトアルデヒドおよびイソバレルアルデヒド含量を定量できた.
煮付け中に,エタノールは減少の一途をたどり,エステル類は初期に消失し,一方各カルボニル化合物は初期には相当減少したが,それ以降最も風味のよい点である液量が約1/2になるまでほぼ一定値を保ち,それ以降増加した.煮付け終了時の煮汁の揮発性成分のパターソは初期調味液のそれとは著しく異なり,カルボニル化合物の占める比率が非常に大きかった.
リフラックス加熱および煮付け条件下における水煮および煮付け実験の結果は,煮汁の揮発性成分に及ぼす魚の影響が非常に小さいこと,煮付け中に揮発性成分の飛散が大ぎいことおよび両アルデヒドが相当量形成されていることを示唆した.

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© 一般社団法人日本調理科学会
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