調理科学
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「あく」の中の無機成分の調理操作による溶出について(第3報)
ふきの場合
出雲 悦子岡田 貞子山田 節子
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1981 年 14 巻 3 号 p. 188-191

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抄録
フキを茄でて,あく抜きすることにより,無機成分のうちCa,Na,K,Mg,Fe,Cuが,どれ程溶出するかを調べた.
フキを純水,1%食塩水及び2%食塩水を用いて3分間茄でた場合の無機成分の溶出率を比較すると,Ca,K,Mg,Fe,Cuともに2%食塩水で茄でた場合の溶出率が1%食塩水より大であった.
茄で時間による差,すなわち3分間と10分間茄での溶出率を比較すると,細断して茄でた場合は,Ca,Na,K,Mgとも時間による差は小さかった. 長いままで茄でた場合は,Ca,Na,K,Mgともに3分間と10分間では,かなり溶出率に開きがあった. Caは純水3分間では僅かに4~10%の溶出率であるが,10分間では22~29%の溶出を示した.Kにおいては3分間では約20%,10分間では約45%の溶出が見られた.
フキを長いままで純水で10分間茄でた場合と,2%食塩水で同じく10分間茄でた場合の溶出率を比較すると,Caは純水茄では約22~29%であるが,食塩水では47~50%,Mgでは純水で10~20%,食塩水では約40%の溶出で,食塩水の方が大であった.Kは純水と食塩水茄でによる差は45%と44%で小さかった.
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© 一般社団法人日本調理科学会
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