日本調理科学会誌
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「鰹だし」風味の食餌の初期経験が後の嗜好性に及ぼす影響
川崎 寛也山田 章津子伏木 亨
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2003 年 36 巻 2 号 p. 116-122

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抄録

「鰹だし」(Bonitobouillon)は日本料理において多くの調味過程で用いられることから,日本料理の特徴的な風味の一つであるといえる.日本料理は低脂肪・高炭水化物な食事形態である.近年,日本人が日本料理から離れ,西洋食を多く摂るようになったことも日本で肥満が問題になっている要因であると考えられる.そこで,本研究では日本人の日本料理への嗜好に影響するアプローチとして「鰹だし」に注目し,マウスを用いて日本料理の特徴的な風味である「鰹だし」の初期経験が後の嗜好性に与える影響を検討した.実験は鰹だしと水,または鰹だしと10%コーン油懸濁液との二瓶選択実験により行った.鰹だし食を初期経験したマウスは,していないマウスに比べて,鰹だしへの嗜好性が高い傾向が見られた.また,離乳期前に鰹だし食を初期経験したマウスにおける成長後の鰹だしへの嗜好性は,離乳期後に鰹だし食を初期経験したマウスや,全く経験していないマウスに比べて高かった.以上のことから鰹だし食を初期経験したマウスはしていないマウスに比べて,成長後により鰹だしを好むことが示唆され,特に離乳期前の初期経験が重要であることが示唆された.

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