日本調理科学会誌
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無洗もち米の調理特性
貯蔵期間による影響
市川 朝子小川 宣子神戸 恵杉山 静代下村 道子
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2003 年 36 巻 2 号 p. 123-129

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抄録

無洗米処理もち米を一定期間低温下に貯蔵したときのもち米の性状と,電子レンジ加熱で米飯にしたときの性状について,精白米もち米と比較した結果は,以下のようにまとめられる.
精白米,無洗米いずれも30ヶ月間,低温(5℃)下で貯蔵したとき脂質を構成する脂肪酸組成中,リノール酸比率の減少がみられたが,その他の顕著な変化は認められなかった.もち米を電子レンジ加熱する条件を一定にした場合,無洗米米飯は精白米米飯に比べて硬く,付着性は小さく,水分率は低い傾向にあった.また,糊化度は電子レンジ加熱,蒸し加熱いずれの加熱方法をした米飯についても高い値を示し,加熱方法による影響はみられなかった.しかし,加熱24時間後の糊化度は,精白米米飯の方が無洗米米飯に比べやや高い傾向が示された.
以上の結果から,無洗米を用いて電子レンジ加熱で,もち米を飯にする場合には,加水量は精白米に比べてやや多め(米重量の1.3~1.4倍量)に調整し米を浸漬後,加熱時間を二段階(間に撹絆操作を加える)に分けて行う簡便な短時間加熱方法で,好ましい食味の米飯に仕上げることが可能であることが明らかとなった.

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