日本調理科学会誌
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野菜のポリフェノール酸化酵素の部位別活性と熱感受性
若山 忠明関根 由喜夫
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2003 年 36 巻 3 号 p. 243-248

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抄録
野菜類に含まれるPPOの各部位の活性,熱安定性,耐熱性および耐熱性に対するpHの影響を調べた.
1.ホウレンソウ,セロリー,コマツナは葉柄下部のPPO活性が高く,葉柄部,葉部の順に低かった.キャベツのPPO活性は芯部で高く,外葉部,中葉部の順に低かった.ダイコン,ニンジン,タマネギは皮部で:最も高いPPO活性が認められ,75%以上のPPO活1生がこの部位に局在していた.
2.セロリーのPPOは50℃ 以上で,ホウレンソウ,キャベツ,コマツナのPPOは60℃ 以上で急速に活性が低下した.一方,ニンジンのPPO活性は60℃以上で低下したが,70.Cでも19%残存していた.また,ダイコンのPPOは酸性のpHで急激に熱安定性が低下した.
3.PPOのD65はセロリー,キャベツ,ホウレンソウ,コマツナ,ニンジンの順で高かった.また,z値は6.1.Cから11.5℃ の範囲であった.
4.ホウレンソウ,セロリー,キャベツ,コマツナを900Cで15秒間,およびニンジンを90℃ で120秒間ブランチングするとPPOに対して5D相当の加熱となると推定された.
5.ダイコンのPPOのD60はpH4.0とpH5.5でそれぞれ,2.2分と96.6分であった.また,z値はそれぞれ10.1℃ と8.7℃ であった.タマネギのPPOのpH4.0でのD60は28.6分であり,z値は18.5℃ であった.
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© 一般社団法人日本調理科学会
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