日本調理科学会誌
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ゆで過程におけるスパゲティの芯の状態変化とアルデンテの評価
中町 敦子中村 恵子四宮 陽子
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2004 年 37 巻 2 号 p. 151-158

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抄録
デュラム小麦のセモリナ粉100%使用,標準ゆで時間11分のスパゲティを用いて,ゆで時間を5~20分まで変えて試料を調製し,アルデンテについての官能評価,水分含量・ゆで歩留測定,拡大写真撮影,糊化度測定,破断試験を行い,以下の結果を得た. 1)官能検査の結果,9,10,11分ゆでが「アルデンテである」と評価され,10,11分ゆでが「少し芯がある」,「好ましい」と評価されたので,好ましいアルデンテは10,11分ゆでであった. 2)日本人のアルデンテの10,11分ゆでは,ゆで歩留2.3~2.4,水分含量63~64%に相当し,これらは中心の白い芯がなくなった状態で,糊化度は90%以上であった. イタリア人のアルデンテはゆで歩留2.1~2.2とすると,ゆで時問8~9分,水分含量約60%に相当し,中心にまだら状に白い芯が残り,糊化度は約80%であった. 3)破断曲線を微分すると,ゆで時間の違いによってダブルピーク,肩,シングルピークの3つに分類された. 日本人が好む10,11分ゆではシングルピークの形で,イタリア人が好む8,9分ゆでは肩がある形であった. 破断曲線の微分はスパゲティの芯のゆで状態の指標になった. 4)20分放置により,拡大写真撮影では中心部への水分移動が見られたが,糊化度はゆで直後と差が認められなかった. また破断曲線の肩はシングルピークになり,破断特性値は全体的に低下した.
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© 一般社団法人日本調理科学会
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