日本調理科学会誌
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雑誌『庖丁鹽梅』に現れた調理教育―料理人による男女両性への啓発―
今井 美樹
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2007 年 40 巻 5 号 p. 337-346

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抄録
本研究の目的は, 明治中期の料理雑誌『庖丁鹽梅』を精査し, 当時の調理教育の取り扱い方を明らかにすることである。
分析視点としては, 『庖丁鹽梅』全37集(1886~1891) の掲載記事のなかから, 明治中期の専門料理人の調理およびその教育について記述していると判断された記事をジェンダー視点で精査した。
その結果は以下の通りである。『庖丁鹽梅』では, 一般に言われていた(1) 男性料理人のための調理教育, (2) 女子のための良妻賢母教育としての調理教育の他に,(3)男女両性のための職業教育としての調理教育がなされていたことが明らかになった。この3つの知見のうちの第3番目の知見については新しい発見である。当時,すでに「自営的な料理店を営む女性に対する職業教育としての調理教育」が明確に認識されていたのであり,食物研究会が提案する料理学校のコースには男女の職業教育が含まれていた。
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© 一般社団法人日本調理科学会
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